結論から言うと、思いつかない原因の多くは発想力ではなく「1本の名文を書こうとしている」ことです。Google 広告の検索広告は広告見出しの入力欄を最大15個持ち、しかもそれぞれが似ていないことを評価します。必要なのは1本の当たりではなく、別々の角度から書かれた在庫。角度を先に決めれば、書く作業はかなり機械的になります。
「1本思いつかない」のではなく「15本要求されている」
まず、自分が何を求められているのかを確認します。Google 広告ヘルプ「レスポンシブ検索広告について」(2026年9月6日に確認)には、入力欄についてこう書かれています。
広告見出しを入力します。少なくとも 3 つ入力してください(最大 15 個まで入力できます)。
説明文を入力します。少なくとも 2 つ入力してください(最大 4 つまで入力できます)。
文字数の条件も同じページにあります。「広告見出しの項目には、半角 30 文字まで入力できます。説明文の項目には半角 90 文字」「パスの項目には半角 15 文字まで入力できます。」。全角なら見出し15字、説明文45字です。
つまり、書き出しの時点で最大19個の空欄が並んでいる。しかもその空欄は、同じことの言い換えで埋めても評価されません。Google 広告ヘルプ「レスポンシブ検索広告に関する広告の有効性について」が挙げる改善のアドバイスは「広告見出しと説明文をできるだけ多く追加する」「広告見出しと説明文の独自性を高める」「人気のキーワードを含める」「固定は控えめにする」で、評価は「未完了/低い/平均的/高い/非常に高い」の5段階です。
評価軸は「うまさ」ではなく「数」と「独自性」。1本の完璧なコピーを探して手が止まっている人は、採点基準の違う競技をしています。
埋めるべき枠の一覧(Google 広告の公式仕様)
検索広告と P-MAX で必要な本数は違います。2026年9月6日時点で、Google 広告ヘルプに書かれている数値をまとめました。
| 枠 | 最小 | 最大 | Google のおすすめ | 1本の文字数 |
|---|---|---|---|---|
| 検索広告:広告見出し | 3個 | 15個 | できるだけ多く | 半角30(全角15)文字 |
| 検索広告:説明文 | 2個 | 4個 | できるだけ多く | 半角90(全角45)文字 |
| 検索広告:パス | ― | 2個 | ― | 半角15文字 |
| P-MAX:広告見出し | 3個 | 15個 | 11個以上 | 半角30文字。うち1つ以上は半角15文字以内 |
| P-MAX:長い広告見出し | 1個 | 5個 | 2個以上 | 半角30文字以上90文字以内 |
| P-MAX:説明文 | 2個 | 5個 | 4個以上 | 半角90文字以内 |
P-MAX の数値は公式ヘルプ「P-MAX キャンペーンのテキスト アセットについて」の記載で、広告見出しの推奨は「11 個以上」、文字数は「半角 30(全角 15)文字まで。半角 15(全角 7)文字以内のものを 1 つ以上含める」とあります。この「半角15文字以内のものを1つ以上」は見落としやすい条件です。全角7文字、「無料で試せる」で6文字。ここだけは別枠で考えたほうがいいです。
なお、この表は入力欄の仕様であって、埋めれば結果が出るという話ではありません。埋めることは出発点です。
思いつかないときの判断軸は3つ
1. 詰まっているのは「言葉」か「切り口」か
同じ商品でも、話の入り口が変われば文は自然に変わります。広告コピーの世界には型(フレームワーク)があり、AIDA・PAS・FAB・BAB・QUEST・4P などが代表的です。
面白いのは、Catchy の公式サイトが、架空のサービス1つを題材に、型ごとの出力サンプルを並べて公開していることです。同じ「AIを使った企業向けマッチングサービス」という設定から、こう分かれます(いずれも公式サイト掲載のサンプル文、2026年9月6日確認)。
- AIDA モデル … 「ATTENTION → Catchyは、AIを活用した新しい企業向けマッチングサービスです。」から始まる4段構成
- PAS モデル … 「苦痛:いつも新しいビジネスコンタクトを探さなければならず、時間がかかる。」と、まず痛みから入る
- BAB モデル … 「以前はビジネスを営んでいる方なら、良いマッチング相手を見つけることがいかに重要か、ご存じでしょう。」と、過去の状態から入る
- 比喩表現 … 「キャッチーは、企業の仲人のようなものです。」
入力はどれも同じで、変わっているのは入り口だけです。サービス紹介から入る、痛みから入る、過去との対比から入る、比喩で言い換える。この4つを自分の商品でやるだけで、性質の違う見出しが4本できます。残りも、価格から入る/実績から入る/ターゲットを名指しする/疑問形にする、と入り口を変えていけば埋まります。
Google 広告ヘルプ「効果的な検索広告を作成するためのベスト プラクティス」も切り口の例を挙げています。「メッセージにキーワードを組み込む」「広告見出しまたは説明文に価格、プロモーション、限定特典などを記載する」「具体的な行動を促すフレーズを選び」「ユーザーの利益に着目したメッセージを組み立てる」。媒体側が軸を示しているわけで、これはそのまま在庫のリストになります。
2. 手を動かす前に、入れる材料が揃っているか
型を使っても、材料が「商品名だけ」なら出力は薄くなります。名前しか手元にない段階と、特徴を3つ言える段階では、向いている道具が変わります。この違いはキャッチコピーをAIで無料作成|商品名から出せる4つを実際に試したで、同じ商品名を複数のツールに入れて比べました。テンプレに名前を差し込む方式と、説明文を読んで書く方式では、出てくるものが別物です。
いきなり書かず、材料を先に並べたほうが早いことが多いです。誰の何の困りごとか/競合と違う点/価格や特典/使った後どうなるか。この4項目が埋まっていないなら、詰まっているのはコピーではなく商品理解のほうです。
3. 生成した後に「削る作業」が残ることを見込んでいるか
ここが実務でいちばん効きます。広告の枠は全角15字。しかしAIツールの出力は、放っておくとその倍の長さで出てきます。
Catchy の公式ヘルプには「現状どのプランでも、全ツール出力テキストの文字数を指定することはできません」と明記されています(2026年9月1日に確認)。入力側も「現状ですと、どのプランでも入力できる文字数の上限は500字になります」という上限つきです。
つまり工程は「生成 → 選ぶ → 15字に削る」の3段階になります。削る作業は思ったより時間を食うので、生成の段階では長さを気にせず角度だけを増やし、最後にまとめて削るほうが速いです。逆に、1本ずつ「15字に収まる名文」を狙うと、また手が止まります。
無料枠で15本ぶんの角度を作れるか
Catchy の料金は公式サイト(2026年9月6日確認)で、Free ¥0(毎月10クレジット付与・プロジェクト1つまで・全生成ツール利用可能)、Starter ¥3,000〜/月(100クレジット¥3,000/200クレジット¥5,700/300クレジット¥8,100)、Pro ¥9,800/月(無制限使い放題)、Enterprise は要お問い合わせ。トップには「クレカ登録不要で 無料ではじめる」とあります。
消費は「1度文章を生成するごとに1クレジット」、長文を生成するツールは2〜4クレジット(2026年9月1日に公式ヘルプで確認)。広告コピー系は短い出力なので1回1クレジットの側です。10クレジットは、型を10通り試せる枠だと考えると分かりやすいと思います。
ただし記事本文の生成に使うと1回4クレジットで、無料枠は記事1本でほぼ消えます(Catchy無料クレジット10で何ができる?記事1本でほぼ使い切る)。広告コピーに使うなら無料で回り、長文に使うなら足りない、という枠です。無料枠が総量ではなく別の軸で先に切れる構造は、ブログ記事が書けない・続かない|無料枠で何回やり直せるか数えたでも同じでした。
正直な短所
AIの出力には、入力していない数字が混ざることがある。これは批判ではなく、公式サイトのサンプルにそのまま現れています。Catchy 公式が掲載している4Pモデルの生成例には「実証:Catchyは90%の確率で最適なマッチングを実現します。」という一文があります。入力した設定文には、この数字はありません。広告には景品表示法があるので、根拠のない数値や効果の断定は、出てきても採用できません。出力は下書きであって原稿ではない、という前提が要ります。
文字数を機械的に合わせてはくれない。前述の公式ヘルプの記載(出力テキストの文字数を指定することはできない/2026年9月1日確認)のとおり、媒体の30文字=全角15字に合わせる工程は手作業に残ります。仕様は変わりうるので、使う前に自分の画面で確認してください。
無料プランは保存まわりで先に詰まる。Free は履歴が直近5回分まで、プロジェクトは1つまで。候補を貯めて後から選ぶ使い方には向かないので、生成したらその場で外部にコピーしておくほうが安全です。
型を回しても、素材が薄いと全部似る。AIDAで書こうがPASで書こうが、入力が「便利なサービスです」だけなら出力も全部同じ顔になります。判断軸2に戻ってください。
よくある質問
Q. 広告コピーは何本くらい用意すればいいですか。 検索広告は広告見出しが最小3個・最大15個、説明文が最小2個・最大4個。P-MAX の公式のおすすめは広告見出し「11 個以上」、説明文「4 個以上」です。最小本数でも入稿はできますが、ヘルプは一貫して「できるだけ多く」「独自性を高める」としています。
Q. AIが作った広告コピーはそのまま入稿していいですか。 そのままは避けたほうがいいです。前述のとおり、入力していない数字や実績が混ざることがあります。事実の確認と、媒体の文字数への調整は人がやる前提で考えてください。商用利用の可否はツールごとに規約が違うので、使う前に各サービスの利用規約を確認してください。
Q. 無料で試すならどこから手を付けるべきですか。 先に材料(誰の何の困りごとか、競合と違う点、価格や特典)を4行でメモしてから、無料枠のあるツールに入れるのが早いです。材料が無いまま無料枠を消費すると、似た出力で回数だけ減ります。
まとめ
- 広告の入力欄は最大15個。1本の名文ではなく、似ていない在庫を求められている
- 思いつかないときは言葉を探すのではなく、入り口(型)を変える。AIDA・PAS・BAB・比喩・価格・実績と軸を並べれば枠は埋まる
- 生成物は下書き。入力していない数字が混ざることがあり、全角15字に削る工程も手作業で残る