結論から言うと、日本語のスライドを見た目まで整った状態で欲しいならイルシル、作った後にPowerPointで自分で直す前提ならGammaが近道です。判断が分かれるのは「きれいに作れるか」ではなく、作った後にファイルとして持ち出せるかです。無料プランはここで差が付きます。まず持ち出しの条件を確認してから、生成枚数を見てください。
「作れる」と「持ち出せる」は別の話
AIスライド生成を初めて試すとき、ほとんどの人は生成の質だけを見ます。ところが実務で詰まるのはその先です。生成したスライドを上司に共有する、社内テンプレートに合わせて直す、印刷して配る。この段階で必要になるのがPPTX(PowerPoint形式)やPDFでの書き出しで、無料プランで書き出せるかどうかはサービスによって扱いが違います。
たとえばイルシルの公式プラン表を見ると、有料の3プラン(法人・パーソナルプラス・パーソナル)の「外部データ出力」欄には「PDF・PowerPoint」と書かれていますが、無料のフリーの欄だけはその記載がなく、×マークが置かれています。文言としては×だけなので、申し込み前に持ち出しが必須なら公式ヘルプで念のため確認するのが安全です。少なくとも、フリーの欄に「PDF・PowerPoint」とは書かれていません。
一方でGammaは無料のFreeプランの説明にはっきり「PDF、PPTX、PNG、Googleスライドにエクスポート」と書かれています。ここが両者の一番大きな違いです。
4つのAIスライド作成ツールを公式の文言だけで並べる
2026年8月時点で、各社の日本語の公式ページに書かれている文言だけを表にしました。金額の表記(税込/税抜、月払い/年払い)も公式ページの書き方に合わせています。
| ツール | 無料でできること(公式の文言) | 有料の入口 | 外部への書き出し | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| イルシル | 「AIデザイン生成の利用可能枚数 3枚/月」「作成可能な資料数 3個まで」「構成生成時の入力可能文字数 1,600文字」 | パーソナル「1,848円/人(税込)」(2026年8月31日時点で公式トップに6ヶ月・1年契約の割引価格の記載は見当たりません) | 有料プランは「PDF・PowerPoint」/フリー欄は記載なし(×) | 日本語のテンプレートごと任せたい人 |
| Gamma | 「¥0」「サインアップ時に400クレジット」「1つのプロンプトで最大10枚のスライドを作成できます」 | Plus「¥1,440」/ユーザー/月(「毎月1,000クレジット」) | Freeから「PDF、PPTX、PNG、Googleスライドにエクスポート」 | 生成後に自分で直す人 |
| Canva | 「¥0」/無料プランは「標準モデルと高品質モデル全体の共有利用枠のみ」 | Canvaプロ「¥11,800」/年払い、1人あたり | 公式料金ページに書き出し形式の記載なし | 画像や図版もまとめて作りたい人 |
| Microsoft 365 Copilot | 個人向け料金ページに無料プランの記載なし | Microsoft 365 Personal「¥21,300」/年 | PowerPointそのもの | 既にOfficeで資料を作っている人 |
表で1つ補足します。Gammaの「400クレジット」はサインアップ時と書かれていて、毎月付与されるとは書かれていません。「毎月1,000クレジット」はPlus以上の欄に出てくる表現です。つまりGammaの無料は「登録直後にまとまった枠があり、そこから減っていく」形と読むのが素直です。イルシルの「3枚/月」は逆に毎月戻る書き方なので、細く長く使うならイルシル、最初にまとめて試すならGammaという違いになります。
判断軸は3つ
1. 出来上がったファイルをどこに置くか
社内に「提出はPPTXで」という慣習があるなら、無料のまま完結できるのはGammaです。イルシルで無料のまま試して、良ければ有料に切り替えて書き出す、という順番になります。逆に、共有リンクや画面共有で足りるなら書き出しの優先度は下がります。
2. 月に何枚作るか
イルシルのフリーは「3枚/月」「資料3個まで」なので、10枚のスライドを1本作る用途には足りません。試用の枠と考えるのが正確です。月に何本の資料を作るかを先に数えてから、40枚/月のパーソナル(1,848円/人・税込)が要るかを決めると無駄がありません。これはNotta無料プランの制限はどこまで?で書いた文字起こしの枠の話と同じ構図で、上限は「合計」より先に「1回あたり」で効いてくるのが共通しています。
3. 日本語の見た目を誰が担保するか
ここが「きれい」を求める人には一番効きます。イルシルは公式トップに「テンプレート3,000種類以上」「特許取得済」と掲げていて、日本語の資料であることを前提にした型が用意されています。Gammaは日本語のUIと円建ての料金ページがありますが、テンプレートは日本語専用ではありません。改行位置やフォントを自分で直せる人ならGamma、直したくない人ならイルシルというのが実際の分かれ目です。
正直な短所も書いておく
- イルシル: 公式のよくある質問に「Google Chrome、Microsoft Edgeに対応しています。Safariは現在対応していません」と書かれています。Macで普段Safariを使っている人は、ブラウザを変える前提になります。無料の入力文字数も1,600文字までで、長い原稿をそのまま貼るには足りません。
- Gamma: Plusの説明に「Gammaのロゴの削除可能」とあるので、無料のままだとGammaの表示が付いた状態になります。社外提出には向きません。
- Canva: 公式料金ページの注記に「有料プランには、標準モデル、高品質モデル、最高品質モデル全体での共有AI利用枠が含まれますが、無料プランには標準モデルと高品質モデル全体の共有利用枠のみが含まれます」とあり、同じ注記に「予測は、AI階層全体のAI使用数の合計を表すものです」とも書かれています。AIを何回使えるかが数字として確定しません。生成回数を当てにする使い方には向きません。
- Microsoft 365 Copilot: 個人向けは年額の契約が入口で、脚注に「AI 機能はサブスクリプションをお持ちのユーザーのみが利用でき、共有できません。使用制限が適用されます」と明記されています。Familyの欄にも「AI はサブスクリプション所有者のみ利用可能」とあるので、家族や同僚と分け合う使い方はできません。
会議の資料を作るなら、材料を先に文字にしておく
スライド生成AIはどれもテキストを入れるところから始まります。裏を返すと、材料になる文章が手元に無いと使えません。会議の内容を資料にする場合、録音を聞き直して要点を打ち直す工程が先に立ちはだかります。ここは議事録作成に時間がかかる本当の原因に書いたとおり、書く速度ではなく聞き直しの時間の問題なので、文字起こし側を先に自動化しておくと、スライド生成に渡す材料がそのまま出てきます。無料の受け皿はAI文字起こし無料比較にまとめてあります。
文字起こし → 要点を1,600文字以内に削る → スライド生成、という順番にすると、イルシルの無料枠でも1本ぶんの構成生成が通ります。試す順番としてはこれが一番早いです。
まず無料枠でテンプレートの見た目を確かめる
日本語の資料の「きれいさ」は好みの幅が大きく、テンプレートが自分の職場の空気に合うかは触ってみないと分かりません。イルシルはフリーで月3枚まで生成できるので、実際の原稿を1つ入れて出てきた1枚を見れば、有料に進む価値があるかは判断できます。書き出しが必要になった時点で有料を検討すれば十分です。イルシルは登録だけで試せます。
よくある質問
AIスライド作成は無料でどこまでできますか
生成そのものは4つとも何らかの形で試せますが、範囲が違います。イルシルは「3枚/月」「資料3個まで」、Gammaは「サインアップ時に400クレジット」「1つのプロンプトで最大10枚」、Canvaは無料プランに共有のAI利用枠があると書かれています。Microsoft 365 Copilotの個人向け料金ページには無料プランの記載が見つかりませんでした。
作ったスライドをPowerPointで編集できますか
イルシルは公式のよくある質問に「イルシルで作成したスライドをPPTX形式で出力し、PowerPointで編集できます」と書かれています。ただし外部データ出力が「PDF・PowerPoint」と明記されているのは有料の3プランで、フリーの欄にはその記載がありません。Gammaは無料のFreeプランの説明にPPTXへのエクスポートが含まれています。
AIで作ったスライドを仕事で使っても大丈夫ですか
イルシルの公式のよくある質問には「商用利用できます。ただし、イルシルのイラストやテンプレート等をそのまま配布・販売することは禁止しています」と書かれています。自社の提案資料や社内資料に使うぶんには問題ない書き方ですが、テンプレート自体を素材として配る用途は対象外です。他のサービスも規約は各社で異なるので、社外に出す資料では利用規約を確認してください。
まとめ
- 無料で分かれるのは生成の質ではなく書き出し。Gammaは無料でPPTXまで出せる、イルシルは有料プランの欄に「PDF・PowerPoint」と書かれている
- 枠の形も違う。イルシルは「3枚/月」で毎月戻り、Gammaは「サインアップ時に400クレジット」でまとめて減る
- 日本語のテンプレートごと任せたいならイルシル、生成後に自分で直すならGamma。まず無料枠で1枚出して見た目を確かめる
※本記事の料金・仕様は2026年8月24日時点で各社の公式ページに記載されていた内容です。最新の条件は公式サイトで確認してください。