結論から言うと、議事録に時間がかかっているのは文章を書く工程ではなく、録音を聞き直す工程です。ここは自分の腕が上がっても短くなりません。60分の会議は1.5倍速で聞いても40分かかります。月に数本・1本が短い会議なら、公式に確認できる無料枠だけで聞き直しをほぼ0にできます。それを超えるなら有料に切り替えるほうが早く終わります。
議事録の作業は5工程に分かれる
「議事録に2時間かかった」と言うとき、その2時間の中身はだいたいこう分かれています。
- 会議中にメモを取る
- 録音を聞き直す
- 発言を文章にする
- 要点と決定事項を抜き出す
- 体裁を整えて共有する
このうち3〜5は慣れれば速くなります。速くならないのが2です。再生時間は録音時間そのもので、1.5倍速にしても60分が40分になるだけ。しかも聞き逃した箇所を戻すので、実際は録音時間を超えることも珍しくありません。議事録の時間短縮とは、事実上「工程2をどう消すか」の話です。
裏を返すと、工程2さえ消えれば、手元には最初から文字が並んでいます。あとは削る作業になるので、書く速度の問題ではなくなります。
工程2を肩代わりする受け皿を、公式の記載だけで並べる
無料の範囲は各社で条件がまったく違います。2026年8月時点で公式ページに書かれている文言だけを表にしました。
| 受け皿 | 文字起こし | 要点のまとめ | 無料で使える範囲(公式の文言) | 前提条件 |
|---|---|---|---|---|
| 自分で聞き直す | — | — | 0円 | 録音アプリだけ |
| Word のトランスクリプト | あり | 本ページに記載なし | 「Microsoft 365 サブスクリプションを持つユーザーは、アップロードされた音声を 1 か月あたり最大 300 分までトランスクリプトを作成できます」 | 「商用テナントの Windows 上の Word for Microsoft 365 でのみ使用できます」 |
| Google ドキュメントの音声入力 | その場で話す分 | — | 費用の記載なし | 「Chrome、Edge、Safari」の最新版 |
| ZoomMate(Zoom) | AIノート作成 | あり | 「ミーティング要約(1か月あたり3回の主催ミーティングで)」 | ベーシックは「1回のミーティング当たり40分」 |
| Notta フリープラン | 「120分/月」 | 「10回/月」 | 「¥0 円」 | 「1回につき3分まで文字起こし可能」 |
表の読み方で1つ注意があります。Wordの300分はMicrosoft 365 のサブスクリプション込みの枠で、単体で無料という意味ではありません。Googleドキュメントの音声入力は費用の記載自体がありませんが、録音済みファイルの文字起こしについてはヘルプに記載が見つかりませんでした。使えるのは「その場でしゃべる」用途と読むのが安全です。
Zoomは2026年8月時点の公式ページではZoomMateという名前で載っていて、無料のベーシックにも要約が月3回分含まれています。同じ無料の欄には「Zoomおよびサードパーティミーティングプラットフォーム向けのAIノート作成(My Notes)(1か月あたり3回利用可能)」とも書かれているので、他社の会議ツールを使う月でも枠は月3回のまま共通です。会議がZoomに寄っているなら、まずここを開いて試すのが一番早いです。Zoom側の録画と文字起こしの範囲はZoom録画の文字起こしを無料でやる方法にまとめてあります。
判断軸は3つ
1. 1回の会議が何分か
ここで大半の人がふるいにかけられます。Nottaのフリープランは月120分の枠より先に「1回につき3分」で止まります。60分の会議を丸ごと投げる用途には届きません。この上限の実際の効き方はNotta無料プランの制限はどこまで?で詳しく書きました。Zoomのベーシックも1回40分なので、1時間の定例には足りない計算になります。
2. 月に何本あるか
月3本までならZoomの無料要約で足ります。週1の定例(月4〜5本)になった時点で無料枠は超えます。Wordの300分も、60分会議なら月5本で使い切ります。「何分か」と「何本か」を掛け算してから道具を選ぶと、途中で乗り換える無駄がありません。
3. 欲しいのは全文か要点か
議事録の目的が「言った言わないの確認」なら全文が要ります。「決定事項と担当の共有」なら要点だけで済み、要約の回数制限のほうが効いてきます。自分の職場がどちらを求めているかで、見るべき数字が変わります。
60分会議が毎週あるなら、無料枠では終わらない
ここまでの数字を素直に当てはめると、週1の60分定例がある時点で、無料の受け皿はどれも枠を超えます。月4本で240分。Nottaのフリープラン(120分/月・1回3分)でもZoomのベーシック(要約3回/月・1回40分)でも足りません。
その前提で見ると、Nottaのプレミアムは公式料金ページで「¥1,185 円/月」(年間プラン)、枠は「1800分/月」「1回につき5時間まで文字起こし可能」と書かれています。月30時間ぶんなので、週1の定例どころか日々の打ち合わせを全部通しても余ります。聞き直しに毎週40分使っているなら、月160分=2時間半以上をこの金額で買い戻す計算になります。まず無料の120分で日本語の精度を確かめてから決めるのが順当です。Nottaは無料のまま試せるので、判断は使ってからで間に合います。
正直な短所
- Notta:フリープランは1回3分で切れるため、無料のままでは長い会議の全文には使えません。プレミアムの安い側の金額は「年間プラン」の表示なので、月ごとの契約とは条件が違います。申し込み前に契約期間を確認してください。
- ZoomMate:無料の枠は要約もAIノートも月3回で、ベーシックは「1回のミーティング当たり40分」で会議自体が切れます。月4本以上の定例には枠が足りません。
- Word のトランスクリプト:公式に「商用テナントの Windows 上の Word for Microsoft 365 でのみ」と条件が明記されています。自分の環境が該当するかを先に確認しないと、300分の枠は使えません。
- Googleドキュメントの音声入力:無料ですが、話している最中しか拾えません。会議のあとに録音を渡す使い方は想定されていないと読めます。
- 共通:どの手段も、音が悪ければ結局聞き直すことになります。入り口の音を整えるほうが先です(文字起こしの精度を上げる録音のコツ)。
よくある質問
Q. 無料のまま議事録の作成時間を減らせますか。 A. 減らせますが、条件付きです。1回40分以内・月3本までのZoom会議か、1回3分以内の短い打ち合わせなら公式の無料枠に収まります。60分の会議が毎週あるなら、無料枠を組み合わせても足りません。
Q. 文字起こしができれば、そのまま議事録になりますか。 A. なりません。全文はそのままだと読めないので、決定事項と担当・期限を抜き出す工程が残ります。ここを短くしたいなら、文字起こしだけでなく要約の回数制限も見て選ぶ必要があります。
Q. 会議中にメモを取るのはやめてよいですか。 A. 録音と文字起こしが確実に走っているなら、メモは論点だけで足ります。会議中にメモが追いつかない場合の対処は会議でメモが取れない・聞き逃すのを止めるにはに整理しました。
まとめ
- 議事録の時間を食っているのは書く工程ではなく、録音を聞き直す工程。倍速でも録音時間の半分は必ず残る
- 無料で肩代わりできるのは「1回40分・月3本まで(ZoomMate)」か「1回3分・月120分(Nottaフリー)」の範囲。60分の定例が毎週あるなら超える
- 選ぶ前に「1回何分 × 月何本」を出す。数字が出れば、無料で足りるか有料に行くかは自動的に決まる